『イラストで読むAI入門』書評

『イラストで読むAI入門』書評
イラストで読むAI入門』著者:森川 幸人

過去最高に良いAI本でした。以前人に『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」』をおすすめされ読んだのですが、若干の回りくどさがあり、理解が捗らない部分もあり、手放してしまったりしました。今回の本は、日本人のゲーム開発をされている方が、過去の実体験などを踏まえた上でのAIに関する言及も多く、その点理解しやすく、非常に学びの多い一冊でした。  

内容はざっくりこんな感じ。

AIってそもそも何だろう?どんな役に立つの?実はAIはいち早く家の中に入ってきている。AIなんて無縁と思っている人にその仕組みからイラストで解説。AIは本当に優れているのか?そもそもAIって何?その歴史から進歩の過程まで、数式を使わずに解説。AIはどのように私たちの生活に入ってくるのか?はじめの一歩から丁寧にイラストで読み解くAI入門。

イラストで読むAI入門』より引用

自分の中でのAIに関する知識はざっとこんな感じ。7つほど自分の知っているAIの特徴をご紹介。

1.AIには得意、不得意がある(例えばIBM、Google、AmazonなどそれぞれのAIには得意不得意があるようです。人の言葉を聞き取るのが下手なAI、読み書きが得意なAI、色々いるようです)


2.人工知能という翻訳は不適切(正確には模造知能)

日本人、ようやく「あれは人工知能ではない」と気づき始めたらしい「遅えよ」「何でもかんでも人工知能言い過ぎ」


3.AIは文脈を理解するのは苦手

言語を理解するようになったとき、AIは人間のバイアスも習得してしまう

4.一からの発想は、できるけど制御が難しい

フェイスブックのAI同士が独自の言語で会話を始めた!?

5.自動運転は意外と課題が多い

6.素材がないと学習できない(「COFFEE MAKING TASK」)

10:40頃からCOFFEE MAKING TASKについて語っています


7.Siriやwatsonは、もどき人工知能(本当の人工知能は今の所存在しない)

産業革命から紐解くと面白いです。

長々となってしまいましたが、ざっとこんな感じです。

自分自身の仕事も、かなりGoogleのAI、AmazonのAIの影響を日々に受けていていますが、それらが人工知能(つまり文字通り、人工的に作られた「知能」)になる日は、まだまだ来るようには思えません。本当にそんな時代になったら、まさに「Her」の世界ですね。

話を本の話に戻します。

本書の中ではAIにできること、苦手なことがイラストで明確化されています。

バッティング、つまり「機会学習」のロジックを非常に丁寧にイラストで説明しています。『イラストで読むAI入門』より引用
AIばかりではなく、比較した上での人間の特性についても触れています。しかし専門用語や小難しい表現を避け、図でわかりやすく解説しています。『イラストで読むAI入門』より引用

ここまでわかりやすくまとめるのは、かなり骨が折れる偉業です。また可愛らしいイラストの裏で、日本人のAIに対する向き合い方に対して、かなり的確な指摘と警告をしています。

日本がAIの後進国である最大の理由は、AIの研究投資に使われるお金の額が桁違いに少ないことも大きな要因です。

イラストで読むAI入門』より引用

ディープラーニングの二つの大きな技術核心のうちの一つの元になったのが「ネオコグニトロン」というAIですが、1980年代にこれを開発したのは日本の福島邦彦氏です。しかし、残念ながら、日本はそれを昇華してビジネス化できるところまで組み上げることができませんでした。これをうまく利用してディープラーニングを開発したのがアメリカです。

イラストで読むAI入門』より引用

そして特に響いた一文がこちら。

日本お映画やアニメは他国に比べてCGの導入がとても遅かったのですが、(中略)日本では人がつくった方が温かみがあるとか、人間でなければ面白いものはつくれないといった人間至上主義的な幻想が大変強い気がします。「人間ではなくては」という価値観が強すぎて、コンピュータやAIの活用は後手になってしまうのです。

イラストで読むAI入門』より引用

そうなんですよね。日本人って「機械化=楽をする」って図式があったり、「汗水垂らして働く=美しい」「手作り=人の温かみがある逸品」っていう思い込みがあって、それによってかなり心理的にマインドブロックが働いて、自動化や機械化というと、拒否感を示す人が結構多いんですよね。あとは自動化、機械化すると暴走するって思い込んでいる一部の人も….。実際に自動化を導入すれば仕事が楽なるのではなく、逆に仕事が増えたりすることもあるのですが…その点なかなか理解を得るのは難しいですね。

緊急時には使えなくなる、暴走するのではないかという恐怖感。

たしかにものづくりの時代はそれでもよかったのかもしれません。しかし、人口もどんどん減っている傾向にありますし、すべてを人力で解決するのではなく、機械をうまく使いこなして、人力で機械をフォローするような形が一番理想定な形なのではないかと個人的には考えています。

書評本:『イラストで読むAI入門』(良い本ですよ。ほんと、新書なので気軽に読めますし。)